AIは万能ではなく“超優秀な新人”だった~AI研修で学んだ成果を変える指示の出し方

生成AIを業務で活用するためのAI研修も、今回は第2回目を迎えました。
全5回で構成されている本研修では、ChatGPT、Gemini、NotebookLMなどの生成AIについて、その仕組みを理解しながら、実際の業務で活用できる状態を目指しています。
第2回のテーマは、AI活用の成果を大きく左右する「指示の出し方」、つまりプロンプトエンジニアリングです。
AIを使ってみたものの、「思ったような答えが返ってこない」「結局、自分で直すことが多い」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。
今回の研修では、その原因がAIの性能だけではなく、こちらの“伝え方”にもあることを学びました。

AIを使いこなす鍵は、ツール操作よりもヒューマンスキル
前回の復習として、AI活用に必要なマインドセットを改めて確認しました。
AIを使いこなすうえで重要なのは、単にツールのボタン操作を覚えることではありません。
むしろ大切なのは、以下のようなヒューマンスキルです。

  • 実現したいことを言葉にする「言語化能力」
  • AIが答えやすい形で問いかける「質問力」
  • AIが理解しやすいように情報を整える「データの整理・整頓」

特に印象的だったのは、AIを「超優秀な未経験の新人」として捉えるという考え方です。
AIは非常に高い処理能力を持っていますが、こちらが何をしたいのか、どのような背景があるのか、どんな前提で考えればよいのかを自動的に察してくれるわけではありません。
明確な指示がなければ動けず、業界の常識や社内の暗黙知も、言葉で伝えない限り理解できません。
つまりAIは、私たちの代わりに考えてくれる存在というよりも、私たちの思考を広げ、深め、作業を加速させてくれる「思考の増幅装置」なのです。

業務利用で欠かせない情報セキュリティの意識
AIを業務で活用する際には、便利さだけでなく、情報の取扱いにも十分な注意が必要です。
研修では、情報を「極秘」「社外秘」「公開情報」などに分類し、まずは社外秘や公開情報の範囲から試していくことが推奨されました。
また、顧客名や個人名などを入力する場合には、そのまま入力するのではなく、「A社」「Bさん」のようにマスキングすることが重要です。
生成AIは便利な一方で、入力する情報の管理には慎重さが求められます。特に本格的に業務で活用していく場合には、無料版ではなく、組織管理が可能なビジネスプランの利用も検討すべきポイントとして紹介されました。

すぐに使える実践テクニックも紹介
研修では、プロンプトの考え方だけでなく、実際の業務で使える具体的な活用方法も紹介されました。
たとえば、Excelでエラーが出た場合、ただエラー内容を入力するだけでなく、行番号や列アルファベットが見えるスクリーンショットをAIに読み込ませることで、どのセルをどう修正すればよいか、より具体的なアドバイスを得ることができます。
また、紙の資料をスマートフォンで撮影し、「この内容をExcelデータにして」と指示すれば、編集可能なデータとして整理することもできます。
さらに、NotebookLMを活用すれば、大量の法令資料や社内規定を読み込ませ、その内容に基づいた回答、解説、クイズなどを生成することも可能です。
なかでも便利だと感じたのが、逆引きプロンプトです。
これは、理想とするアウトプット、たとえば既存の議事録や報告書をAIに見せて、「これを再現するためのプロンプトを作って」と依頼する方法です。自分で一から指示文を考えるのではなく、完成形から逆算してプロンプトを作ることで、より再現性の高い指示ができるようになります。

AI活用は「質問の質」で変わる
第2回の研修を通じて改めて感じたのは、AI活用の成果は、AIそのものの性能だけでなく、私たちがどのように問いかけるかによって大きく変わるということです。
AIは、曖昧な指示にもある程度応えてくれます。しかし、業務で本当に使えるレベルの回答を得るためには、目的や背景、条件、完成イメージをきちんと伝える必要があります。
つまり、AIを使いこなす力とは、単なる操作スキルではなく、自分の考えを整理し、相手に伝わる形で言語化する力でもあります。
今回学んだプロンプトの5要素や実践テクニックを活用することで、日々の資料作成、情報整理、議事録作成、Excel作業、社内ナレッジの活用など、さまざまな業務の効率化につなげることができそうです。
次回以降の研修では、さらに実務に近い活用方法を深めながら、AIを「便利なツール」から「頼れる業務パートナー」へと育てていくことが期待されます。