「教え教わり合う風土づくり」をいかにつくるか

今回は、小集団改善活動のテーマに「スキル拡大/アップ」を掲げて、
職場全員参加で、自主的に同活動に取り組まれている素晴らしい事例を2つご紹介します。

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金属管製品製作チームの小集団活動のテーマは
「マルチに動ける人材作り」でした。
テーマ選定理由は「お客様への納期短縮」です。
お客様の納期要求がどんどん厳しくなる中で、
皆がいろんな機械を扱うことができたら(つまりマルチスキルができたら)、
仕事の負荷状況に応じて、お互いに作業の助け合いができて納期を短縮することができます。
そこで
まず現状把握としてスキルマップ表を用いて19業務について、
各個人の習得・未習得スキルの確認をし、
全員がスキルマップ全項目に◎・○を付けることを目標にしました。

せっかく目標をたてても、計画がないと実行できません。
特に「いつ」やるかを決めないと、
どうしても目の前の業務が優先されてしまいます。

そこで、「いつやるのか?」
毎週、「火曜日と金曜日の昼に30分間活動する」と決めました。
さらに「何を」「誰が」「誰に」教えるのか。
講師・受講者を明記した「スキルアップ活動配置表」をつくり小集団活動することにしました。

  

さらに、活動効果を確認するために、
1回講習を受ける毎に受講者の人が何を学んだのかを、記入する教育訓練書を提出するようにしました。
同時に、教育訓練書の提出場所も設置しました。
活動では、まず出荷検査(傷・形状確認、寸法検査、客先毎の梱包)業務を
皆ができるようになることをめざしました。
その結果、1人しかできなかった出荷作業を皆が分担してできるようになり、
1週間あたり5時間かかっていた出荷作業が1時間でできるようになりました。
活動をしての、メンバーの感想は?

・手伝ってもらえる事が増える事で、本人のストレスも軽減した。
・作業の段取りを知る事により、他の人に対する考慮ができるようになった。
・『報連相』がより活発に行われるようになった。
・スキルアップの講師になる人も、教えるスキルがつき、改めて自分のやり方を見直す良い機会となった。
・新しいことを覚える事が出来たので、楽しかった。
・スキルアップ活動通じて自分の担当以外の知識も身に付いたと思う。
・新しい事を覚えれるので、色んな事を積極的に手伝えるようになった。

良いことづくめですね!

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次の事例です。
機械装置加工/組立チームでは「図面の読取り能力向上」を小集団活動のテーマに活動されました。
人によって、図面の読解に時間がかかることもあり、作業効率に影響していたのです。
まず、現状把握で、図面の読解力テストを行いました。
その結果「形状をイメージできる」能力に伸び代が大きいことがわかり、同読解の勉強会を行いました。

そして再度テストを行ったところ 平均3.8点が 4.2点に上がりました。
しかしながら、目標にはまだ達していないということで要因分析をしてみました。
人ごとに見ていくと、若手で点数が上がっていない人いて、この人を重点的に教育することにしました。
さらに詳しく「どの部分の読み取りが不十分なのか」を調べてみました。
すると
・実線と破線を間違えている
・形状把握が出来ていない など

そこで、これらの能力を上げるために、3つの部品を平面図に描いてもらうトレーニングをしました。

  

そして再テストしたところ4点が4.67点に上がりました。
これでチーム目標達成です。
さらに、この活動を「定着化/標準化するために」以下が決められました。
・月2回の勉強会の開催
・図面の見方の手順書作成
波及効果としてあげられたのは・・・
・図面が読み取れるようになった →読み取りミスによる不良低減→作業工程の停滞低減!
・作業工期の短縮→製作台数アップ!

メンバーの感想は以下です。
・図面の見方を学べて大変勉強になりました。今後も活動を行っていきたいです
・三角法を少しでも理解出来てよかったです
・定期的に勉強会を続けて行きたい
・部品図は読めるようになったが、組図が読めない時があるので、次は組図を読めるようにしていきたい

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いかがでしょうか。
いずれも、人の本来持っている「新しいことを覚えたい」「学びたい」という向上心を引き出し
「教え教わり合う風土づくり」をつくるとともに、
実際に作業時間の短縮につなげている素晴らしい小集団活動でした。
現在、ベテランのスキルをいかに若手に伝承していくかが課題の会社が多いと思います。
今回ご紹介したように、小集団活動のテーマで「スキル拡大/アップ」に取り組むことは、
現場が自主的に取り組まれて、職場の連携向上にもつながりたいへんお勧めのやり方です。